ケガの治し方

少しでも早く練習に復帰したい!オスグッドの治し方【完全ガイド】

オスグッドで悩んでいる小中学生は多いと思います。

私の接骨院でも、小学生や中学生の患者さんの症状で、一番多いのが「オスグッド」ではないかなと思うくらい多いです。

多くの子供が悩まされる「オスグッド」ですが、なかなか治らず、長期化することも多いです。

今回は、この「オスグッド」を完全攻略するためのロードマップをご紹介します。

ぜひ最後までご覧ください!

オスグッドとは

オスグッドの原因を説明する図

オスグッドとは、膝のお皿の下の骨の出っ張りの部分が痛くなるもので、小学校高学年から中学生の成長期の男の子によく見られます。

サッカーやバスケ、バレーボールなど走ったりジャンプすることで、膝を伸ばす「大腿四頭筋」がくっ付いている膝のお皿の下の「けい骨」という骨を繰り返し引っ張り、骨が剥がれてきて出っ張ってきます。

痛みを我慢して競技を続けていると、さらに悪化して将来的に後遺症になることもあるので注意が必要です。

症状

オスグッドの症状として、次のようなものがみられます。

✓ジャンプやダッシュ、ボールをけると、膝のお皿の下が痛い。

✓階段の上り下り、特に下りが痛い。

✓膝のお皿の下の骨が出っ張ってきている。

原因

オスグッドになってしまう原因としては、次のようなものがあげられます。

✓ジャンプやダッシュ、すばやいターン、切り返し、ボールける時など、鋭い踏み込み動作の繰り返し←これが最大の原因

✓10歳~15歳の成長期特有の痛めやすい条件

1.成長期で身長が急激に伸びるが、骨の成長速度に筋肉の成長が追い付かないため、筋肉が伸ばされた状態になっている。

2.膝を伸ばす大きな筋肉、「大腿四頭筋」が膝のお皿を中継してお皿の1~2センチ下の骨にくっついているが、この部分に、この時期のしかない成長するための柔らかい骨があり、繰り返し使われて引っ張られることではがれやすい構造をしてる。

治し方

まずは、負担を掛ける原因となることを控える必要がありますが、出来ることをまとめると以下のようになります。出来ることから

「疲労と回復のバランス」が回復への第一歩です。回復が疲労を上回るように、これらの中で取り入れられるものを、少しでも取り入れて、出来ることからすぐに始めていきましょう!

1.ジャンプやダッシュ、切り返しやボールのキック(特にインステップキック)などを控える

当然ですが、この様な直接の原因になる「踏み込み動作」をを控えます。

坂道や階段もできるだけ控えます。

ボールをける際にはインステップキックを避け、できるだけインサイドキックを使いましょう。

2.なるべく立っている時間を減らし横になる時間を増やす

回復を促すためには、ジャンプやダッシュを控えるだけでは不十分です。立っているだけでも原因に膝に荷重され、大腿四頭筋が使われてしまうので、まずは、他ている時間そのものも極力減らし、更に座っている時も、出来るだけ荷重しないよに足を投げ出している姿勢がベストです。

3.アイシング

痛みが強い時や腫れがあったり赤くなっているときは、氷嚢などを使って、10分程度冷やすと痛みが緩和されます。

氷嚢がなければ、ビニール袋に氷と水を入れて代用することもできます。

ビニール袋だと、冷たすぎる時は薄いタオルなどを間に挟みましょう。

4.睡眠時間をしっかりとる

最もケガが回復するのが睡眠時間です。

これを軽視して削ると当然回復が遅れます。

夜更かしせず、しっかり睡眠をとって、成長ホルモンの分泌を促し、回復を早めましょう!

5.周囲の筋肉をマッサージ

筋肉は走ったりする際にも衝撃を和らげるクッションとして働きます。

直接の原因になる大腿四頭筋だけでなく、もも裏のハムストリングスやふくらはぎ、足底の筋肉もしっかりマッサージすると膝にかかる負担を軽くすることができます。

自分で行うセルフマッサージと人にやってもらう方法と両方行うとベストです。

6.体重の管理

当然ですが、体重が重いほど膝に負担が掛かります。

コントロールする必要がありそうであれば、しっかり管理しましょう。

7.姿勢の改善

良い姿勢と悪い姿勢の比較

普段の姿勢も重要な要素です。

腰がドテッと後ろに下がった座り方をすると、骨盤が後傾し、結果的に大腿四頭筋の緊張を生み、よりオスグッドの負担を強めます。

頭をスッと上に伸ばす姿勢を意識すると、自然と骨盤が立ち、大腿四頭筋の緊張も緩和され、ついでに腰への負担も軽くなります。

7.関節の運動

関節を出来るだけ脱力した状態で動かしていきます。ストレッチではなく、可動域の範囲内で痛みのない範囲でゆっくり動かしていきます。

人にやってもらう方法もありますが、自分で行う方法もあります。

【人にやってもらう方法】

1.仰向けでの膝の曲げ伸ばし

膝の曲げ伸ばし(他動運動)

仰向けに寝てもらった状態で、痛めている足をやさしく持ち上げ、それぞれの手でかかとと膝を持って支え、膝関節を曲げながら股関節も曲げて股関節側に押し込んでいきます。

痛みのない範囲で押し込む・戻す、曲げる・伸ばすを繰り返します。

オスグッドの原因となる大腿四頭筋は、一部が股関節をまたいでいて股関節の動きにも関連するので、股関節を緩めることで、大腿四頭筋の緊張を緩和することになります。

2.仰向けで股関節回し

股関節回し(他動運動)

1と同様に仰向けに寝てもらった状態で、痛めている足を持ち上げ、今度は股関節をくるくる回すように動かします。

結果的に膝関節の曲げ伸ばしも加わります。

これも、痛みのない範囲で円を描きようにゆっくりと回していきます。

3.膝のお皿を動かす

足を伸ばして、膝のお皿が緩んだ姿勢になり、お皿を上から軽くつまむようにして前後もしくは左右に繰り返し往復しながら動かします。

膝のお皿を上下に動かす

膝のお皿を左右に動かす

大腿四頭筋と膝のお皿、そしてその下の膝蓋靭帯は一体となってオスグッドの痛みの原因となる脛骨という骨の出っ張りにくっ付くので、お皿の動きを緩めることで周囲の筋肉の緊張も緩和し、オスグッドの痛みを軽減します。

【自分で行う方法】

1.仰向けで自転車こぎ

仰向けに寝た状態で、空中で自転車をこぐように膝と股関節を動かします。

2.膝のお皿を動かす

イスなどに座って膝を伸ばし、膝のお皿が緩んだ姿勢になり、お皿を上から軽くつまむようにして前後もしくは左右に繰り返し往復しながら動かします。

痛めている場所に負担のかかる運動ではないので回数に制限はありませんが、1回に10回から20回くらいを目安に行ってください。

8.ストレッチ

痛みが強い初期には、ストレッチ自体が膝の負担になる可能性があるので、控える必要がありますが、少しづつ改善してきたら、ストレッチを少しづつ取り入れていきます。

自分で行うセルフストレッチと誰かにやってもらうパートナーストレッチを両方行うとベストです。

 

9.お風呂でゆっくり温める

これも、痛みが強い初期で、膝の下が腫れていたり赤くなっているときは、温めすぎない方が良いですが、回復してきたら、お風呂でしっかり温めることで、原因になっている筋肉の緊張を緩め、血流を促進し、痛めている場所のストレスを減らし、回復が早くなります。

10.サポーター、テーピング

「まだ不安があるが、練習に参加したい」「だいぶ良くなってきたが、どこまで回復しているかわからない」といった時には、予防も兼ねて、テーピングやサポーターを使うという方法をあります。

過信してしまうと、回復を妨げたり、悪化させてしまう可能性もあるので、あくまでも補助的なものである、ということを忘れずにうまく使いましょう。

オスグッド用サポーター

11.インソール、足底のアーチ

足の裏には土踏まずを作る「縦のアーチ」とそれぞれの指の付け根から作られる「横のアーチ」がありますが、これも膝への衝撃を和らげるクッションの一つです。

足底のアーチを作ってくれるインソールやテーピングを利用することも対策の一つです。

回復プログラム(3STEP)

評価

まず、痛みがどの程度なのかを先に検査します。

うつ伏せに寝てもらい、膝を曲げていき、どの段階で、膝のお皿のが痛くなるかを見ていきます。

Level1:かかとがお尻まで付いても痛みはないが、スポーツ後には痛い

Level1

 

Level2:かかとがお尻まで付くが、少し痛みがある

Level2

 

Level3:かかとがお尻に着く手前で、痛みが出る(かかとまでこぶし1つ~2つくらい)

Level3

 

Level4:膝が直角を少し超えたところで痛い

Level4

 

Level5:膝が直角(90度)、もしくはその手前くらいで痛い

Level5

痛みが出てから練習復帰までの回復プログラムをご紹介します。

急性期→回復期 という流れになっているので、少しづつ試しながら、自分の現状をあてはめて、焦らずに実践してみて下さい。

痛みが強い時(急性期)【Level4~5】

まずは、とにかく安静。

立っているよりも、座っているよりも、横になって、出来るだけ膝を脱力し、膝にかかる負荷を解放する時間を作りましょう。

座っていても、足裏が地面についていると、足が全体的に緊張している事はよくあるので、なるべく足を投げ出すような姿勢を心がけましょう。

腫れがあったり赤くなっている時は、アイシングも効果的です。氷嚢等を用いた10分程度のアイシングを1日に何回か行いましょう。

歩く際にも、出来るだけ歩幅も狭めてゆっくり歩き、出来るだけ坂道や階段は避け、立ち上がりも何かにつかまるようにして、出来るだけ膝に強く体重が掛からないようにします。

膝の周囲の筋肉は緊張があると思うので、マッサージは、軽く行うと良いと思います。人にやってもらうマッサージと自分で行うセルフマッサージを少しづつやってみましょう。

回復期その1(受傷後2週間以降)【Level3】

安静期間がしっかりとれれば、炎症が治まってきて痛みが和らいでくるので、今度は少しづつ動かしながら治していきます。

ただし、回復を妨げるほど動かしてしますと、よくないので、確認しながら慎重に行いましょう。

1.マッサージ:痛めている側の足は表も裏もしっかりマッサージしましょう。

ももの前側のセルフマッサージ

2.関節運動:人にやってもらう他動運動からはじめて、自分自身で動かす自動運動に移っていきましょう。

膝の曲げ伸ばし(他動運動)

空中で自転車こぎ(自動運動)

3.ストレッチ:これも、人にやってもらうパートナーストレッチと自分で行うセルフストレッチを少しづつ取り入れましょう。

ももの前側(大腿四頭筋)のストレッチ

ももの裏側のストレッチ

4.ウォーキング:できれば最初はアスファルトなどの硬い所ではなく、芝生や土の上、もしくはウオーキングマシーンなど軟らかい所を選んで、歩幅狭めで、ゆっくり歩く所からスタートしましょう。

その後の痛みを確認しながら、少しづつ歩幅と時間と距離を増やしていきましょう。

5.エアロバイク:エアロバイクは、膝と股関節がクルクル回るだけでも膝周囲を和らげる効果があるので、最初は負荷0でリラックスして行います。

慣れてきたら、少しづつ負荷、時間、スピードを増やしていきましょう。

6.水中歩行:水中は関節に荷重される負荷がないので、環境があれば、積極的に取り入れましょう。

ただ、平泳ぎの様に強く蹴る動きは膝に負担が掛かるので、ウォーキングや軽いクロールなどから始めます。

回復期その2(受傷後1か月以降)【Level1~2】

1.マッサージ:引き続き、痛めている側の足は表も裏もしっかりマッサージしましょう。

2.関節運動:人にやってもらう他動運動と自分自身で動かす自動運動をどちらも実践します。

股関節回し(他動運動)

3.ストレッチ:痛みの改善と共に、ストレッチの強度と種類を増やし、より時間をかけて可動域を改善しましょう。

ももの前側のストレッチ

4.ジョギングもしくはランニング:徐々にウォーキングからジョギング、ランニングに移り、痛みの確認をしながら、スピードと距離を増やしていきます。

5.エアロバイク:痛みの程度を確認しながら少しづつ、負荷と距離を増やしていきます。

6.水泳:水中ウォーキングと合わせて、クロールや平泳ぎなども取り入れていきます。平泳ぎは膝で蹴る動きがあるので注意しながらやり過ぎないよにします。

7.軽いダッシュやジャンプ:軽いダッシュやジャンプも試してみます。強く地面をけらずに、リズムで脱力して跳ぶようにします。

 

これらのリハビリ内容は、あくまでも目安です。

重要なのは、「回復を妨げないレベルで動かしながら治す」ことです。

これは、本人にしかわからないところもあるので、リハビリ後、もしくはその翌日に、痛みが出てしまったか、もしくは問題なかったかを自分の感覚で確認リハビリを進めていってください。

 

テーピングの貼り方

回復期にスポーツの練習に参加したいときには、無理をしない前提で、テーピングを活用しましょう。

張り方の動画はこちら▼▼▼

ジャンパー膝、オスグッドのテーピング

まとめ

なかなか治らず、長期化してしまうことも多い「オスグッド」ですが、リハビリの根本は他のスポーツ障害と同じで、

安静→段階的に動かしながら治す

という原則は同じです。

私の接骨院に、施術を受けに来る子たちも、なかなか治らない子に共通しているのは、

痛い→ちょっと安静→ちょっと良くなったらすぐに、普通に練習再開→また痛くなる

を繰り返すパタ~ンです。

通常の練習から離れてリハビリメニューをこなすのは、本人にとってももどかしく、つらい時期ではありますが長期的に考えると、

それが結局、最短で直すことになるります。

接骨院に通いながら、自宅でもできることをやっていくのがおすすめです。

焦らず、淡々と段階的にリハビリメニューをこなしていきましょう!

まとめ動画はこちら▼▼▼

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