ケガの治し方

アキレス腱が切れてしまった!リハビリはどうする?【治し方完全ガイド】

30代~40代で意外と多い「アキレス腱断裂」ですが、しっかりリハビリしないと後が大変です!

病院での 手術▶入院▶通院 でリハビリはすると思いますが、それでは不十分です。

通院期間が終わっても、自宅でリハビリを続ける必要がありますが、そのままうやむやになってしまう方も多いようです。

今回は、機能障害がおこりやすく再断裂の危険もあるアキレス腱断裂後、自宅で続けるリハビリについて詳しく解説します。

ぜひ、しっかり見ていただいて、無理のない範囲で実践してみてください。

アキレス腱が切れた!?まず、どうする?

スポーツなどをしていて踏み込んだ時などに「バキッ」っと音がして歩けない!

そのような時は、アキレス腱が断裂している可能性があります!

まず、すぐに病院(整形外科)に行きましょう!

アキレス腱断裂は、そのまま放置すると、切れたまま治ってしまうので、その後の歩行障害などの機能障害が大きく出てしまいます。

人の手を借りるなどして何とか最短で行ける病院を探して診てもらい、診察を受けましょう。

夜遅い時などは、ひとまず、足をダラっと脱力した状態(つま先を下げた状態)で朝まで横になって待ち、翌日、できるだけ早く病院に行きましょう!

※通常、足首を痛めて、サポーターや包帯で固定する時は、つま先を少し上げて足首を直角にして固定しますが、アキレス腱断裂の時はダラっとした、つま先が下を向いた状態にします。

アキレス腱断裂とは

アキレス腱とは、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋とヒラメ筋)が集まって腱になった部分で、そのアキレス腱が踵にくっついていて、このアキレス腱が踵を引き上げることで地面をけって歩くことができるのですが、「アキレス腱断裂」とは、このアキレス腱が切れてしまう事で、つま先をついて歩くことができなくなります。

切れた時の特徴として、

  1. 『バキッと音がした』『ボールが当たった感じ』等の衝撃を感じた
  2. 足首の後ろ側に痛みがある
  3. つま先だちができないが、踵をついて何とか歩ける
  4. アキレス腱の部分に凹んだ部分が見られる

などの特徴があります。

また、年齢的には、30~50代の方に多く、久しぶりに運動をして走ったり、ジャンプ動作などした時に起こることが多いようです。

他のスポーツ障害と違って、年齢的に高めの方が多い背景には、使いすぎによって痛めたというより、年齢と運動不足などの生活習慣によって「筋力の低下」、「柔軟性の低下」「体重の増加」などがあり、断裂にいたります。

ある患者さんではテニスをしている時に断裂してしまったそうで、その時は転んで起きれず、何が起こったか分からなかったようで痛みは最初はあまり感じなかったみたいです。

その日の夜に救急病院で診てもらって帰宅後に痛みが増してきた、というお話がありました。

病院での受診後の流れ

病院で診てもらうと、ほとんどの場合、手術して断裂したアキレス腱をつなぎ合わせることになります。

その後、アキレス腱断裂用の専用装具で固定し、日数が経つごとに、固定する時の足首の角度を段階的に変えながら、同時にリハビリを行っていきます。

一般的な術後の流れ

受傷後、足関節を最大底屈位(つま先を下げた状態)で装具による固定

約3週間後、足関節を30度底屈位(つま先を少し下げた状態)で固定。体重の3分1の荷重が可能

約5週間後、足関節を軽度底屈位でかかとをつけて体重の全荷重可能

約6週(1か月半)以降、専用装具による固定から短下肢装具(専用装具より動きやすいサポーターのようなもの)に切り替え

 

以上の流れで受傷してからの経過と状態によって固定肢位を変えながらリハビリを早期に開始していきます!

リハビリ開始!

ギプス固定時のリハビリ

断裂した時はギプスで固定されるので足首はほとんど動きません。損傷した直後は荷重をかけたり、ストレッチして伸ばすと再断裂が起きやすいためしっかり固定します。

なので、まずは、断裂したアキレス腱ではなく、固定が取れた後にスムーズに全身の体力の回復につながるように周りの筋肉からリハビリをしていきます!

  1. 【仰向け】良い方の足の膝を立てる、ギプスをした足を床から20、30センチの高さに膝を曲げずに上げて5秒間キープする。大腿の前側を意識!!
  2. 【横向き】ギプスをした足を上にして膝を曲げずにつま先を前面に向けながら床と平行になるくらいまで上げる。大腿の外側を意識!!
  3. 【うつ伏せ】ギプスをしている足を床から20、30センチくらいまで上げる。5秒静止してゆっくり降ろす。大腿の後面を意識!!
  4. 【座って】膝の間にボールやクッションなどを挟み、両膝で押しつぶす。大腿の内側を意識!

上記の1から4までの運動をそれぞれ10回1セットとして2、3セット行います。

また、タオルを足裏に敷いて指で手繰り寄せること【タオルギャザー】で足指を鍛えたり、足指でビー玉を掴んで指先の感覚を取り戻すなど、足先の運動も可能であれば行います。

エアロバイクも、かかとで漕げば、アキレス腱に負担がかからずおしり・ももを鍛えられるので、早期に始めることが可能です。

ギプス固定除去後のリハビリ

先程までは、専用装具固定時のリハビリをお伝えしました!

受傷後、約6週目(1か月半)以降からは短下肢装具に切り替えて足を少しずつ動かしていきます。

10週目(2か月半)からは両つま先を揃えてかかとの上げ下げの運動 【カーフレイズ】

※最初は断裂部に負荷をかけ過ぎず、手すりなどにつかまりながら少しかかとを上げる程度で行い、回復に合わせて段差で行ったり片足ずつ運動していくといいです。

12週目(3か月)以降からバランスボードで感覚訓練

※筋力と同時にバランスを保つ神経の機能も回復させます。

14週目(3か月半)以降でハーフスクワットを開始

※再断裂の危険性もあり、また、伸ばすことにも恐怖感があるため徐々に行います。

受傷後6か月後にスポーツやられている方は復帰可能

色々なバリエーションでトレーニングしよう

上記のリハビリメニューは一般的な、定番のリハビリの流れですが、将来的に「再断裂の不安をなくしたい」「スポーツに復帰したい」と考えた時にまだまだやれることはあります。

また、リハビリをさぼってしまって何年も経ってしまった方もあきらめることはありません!

リハビリに終わりはないので、継続する必要がありますが、逆にいつ始めても大丈夫です。

 

大事なのは「多様性」と「漸進性(少しずつ負荷を上げていく事)」!

 

同じトレーニングメニューを続けると慣れてしまうため、常にメニュー内容を見直して変化させる必要があります。

また、その方のアキレス腱の状況に応じて、強すぎず弱すぎず、段階的に少しずつ負荷を上げていく事も大事です。

リハビリは主に「筋力」「柔軟性」「神経の機能」という3つの回復を目指します。

これを踏まえて、受傷後からの期間に応じたリハビリメニューをご紹介しますが、回復の程度は個人差があるので、このメニューを参考にして、ご自身で無理のかかり過ぎないように注意しながら、少しずつメニューを増やして負荷を上げていきましょう!

10週(2か月半)以降

【シーテッドカーフレイズ】座った状態でかかとを上げて下ろす。

【カーフレイズ】立った状態でかかとを上げて下ろす。最初はつかまりながら行うが、徐々に手を放して行うようにする。

【片足立ち】片足立ちになって10秒から20秒キープする。

12週(3か月)以降

【カーフレイズ(つま先外側)】つま先を外側に向けて立った状態で、かかとを上げて下ろす。

【カーフレイズ(つま先内側)】つま先を内側に向けて立った状態で、かかとを上げて下ろす。

【片足立ちもも上げ】片足立ちになって、ももを上げて下ろす。10回ほどゆっくり繰り返す。

【片足立ちキャッチボール】片足立ちになって、ゴムボールなどでキャッチボールを行う。

【ウォーキング】なるべく芝生や土など柔らかい場所を選んで、荷物を持たず、リラックスして歩きましょう。

4か月以降

【段差を利用したカーフレイズ】階段や踏み台などを利用してつま先立ちになり、かかとを上げて下ろす。

【ハーフスクワット】腕を前方に伸ばしながら、お尻を引いてももが地面と平行になるくらいを目標にしゃがんで、元に戻る。

【両足ジャンプ】高く跳ぶというよりは縄跳びのイメージで、リズミカルに小さいジャンプを繰り返します。

【バランスディスク片足もも上げ】バランスディスクの上に片足立ちになってもも上げ動作を繰り返しゆっくり行います。10回ほど行います。

【ジョギング】ウォーキングの延長で、無理のない範囲で少し走ってみましょう。

5か月以降

【フルスクワット】腕を前方に出してバランスを保ち、お尻をしっかり後ろに引いて膝が前に出過ぎないようしながら、しゃがめるところまで腰を落としましょう。

【片足ジャンプ】縄跳びのイメージで、リズミカルに小さいジャンプを繰り返します。

【ジャンプツイスト】両足をそろえ、つま先の位置を左右に変えながらひねるようにジャンプします。リズミカルで小さいじゅんぷを繰り返します。

【ランニング】ジョギングよりも更にスピードを上げて走ります。

6か月以降

【片足カーフレイズ】片足立ちで、かかとを上げて下ろします。

【ジャンピングスクワット】スクワットで立ち上がる際にジャンプします。しゃがむ時にしっかりお尻を引いて膝が前に出ないように注意します。

【つま先での階段上り】つま先立ちで階段を上がります。

マッサージやストレッチも大事

負荷をかけてトレーニングすることも大事ですが、同時に、マッサージやストレッチによって、筋肉や腱の硬さを取ってあげることも重要です。

セルフマッサージ

座ってマッサージします。

【親指で押すマッサージ】ふくらはぎからアキレス腱にかけて、親指で押していきます。

【指でのマッサージ】アキレス腱をつまむように、マッサージします。

【指でつまんで動かす】アキレス腱を指でつまんで、上下、左右に動かします。

【マッサージガン】最近はやりのマッサージガンを使って、ふくらはぎからアキレス腱にかけて軽く押し付けながら当てていきます。

ストレッチ

【腓腹筋のストレッチ】立って、足を上下に開いて、後ろの足のかかとを地面につけ、重心を前に持っていきます。

【ヒラメ筋のストレッチ】立って、足を上下に開いて、後ろの足のかかとを地面につけ、重心を前に持っていきます。この時、後ろの足の膝を少し曲げます。

【動的ストレッチ】両手と両足を付いた状態で、両足のかかとを交互にリズミカルに床に付けます。

 

リハビリ方法をまとめた動画はこちらをご覧ください▼▼▼

 

テーピング方法

早期にスポーツに復帰する時など、再発を予防する為に貼るテーピングの貼り方をご紹介します。▼▼▼

まとめ

アキレス腱断裂は久しぶりに運動する人に起こることが多い怪我です。1度怪我してしまうと再断裂することもあるため、固定してる期間から固定を外すまでの間のリハビリが重要になってきます。

なので、再発しないためにもリハビリは大切に行っていきましょう!

-ケガの治し方