こんにちは、みやのまえ接骨院の橋本です。
「最近、親指や手首が痛くて…」と悩んでいませんか?ペットボトルの蓋を開けるときやスマホを触るときに走るその痛み、実は原因によってケアの方法が全く違うんです。
この記事では、手の専門医の視点を元に、代表的な手の痛みである「ばね指」「ドケルバン病(腱鞘炎)」「母指CM関節症」の違いと治し方を、初心者の方にも分かりやすく解説します。

あなたの「親指・手首」で何が起きている?
私たちの手の中で、親指は他の4本の指と向かい合って働く「チームのキャプテン」のような存在です。このキャプテンがケガをすると、手全体の動きがスムーズにいかなくなってしまいます。
手の痛みには、大きく分けて「摩擦によるトラブル」と「クッションのすり減りによるトラブル」の2つがあります。
✔ 摩擦のトラブル: 「ばね指」や「ドケルバン病」などの腱鞘炎。使いすぎで「ヒモ」と「トンネル」がこすれている状態です。
✔すり減りのトラブル: 「母指CM関節症」。長年の活躍で、関節の「クッション(軟骨)」が薄くなっている状態です。
まずは、自分の痛みがどのタイプに近いのか、以下の特徴を見ていきましょう。
母指腱鞘炎(ドケルバン病)
まずは腱鞘炎(けんしょうえん)です。これは、いわば「使いすぎによるオーバーヒート」です。
登場人物は「2本のヒモ」と「1つのトンネル」
私たちの手首(親指側)には、親指を動かすための「腱(けん)」という丈夫なヒモが通っています。ドケルバン病に関わるのは、主にこの2本です。
1.広げるヒモ: 親指を外側にパッと広げるためのもの。
2.持ち上げるヒモ: 親指を「グッ!」と立てるためのもの。
この2本のヒモは、バラバラにならないように「腱鞘(けんしょう)」という共通のトンネルの中を仲良く並んで通っています。
なぜ「ドケルバン病」になるの?(メカニズム)
本来、このトンネルの中は潤滑油(滑液)があって、スルスルと滑らかに動いています。ところが、親指を使いすぎると大変なことが起こります。
✔摩擦で火がつく:何度もヒモ(腱)がトンネルの中を行ったり来たりすると、こすれて熱を持ちます。するとトンネルの内側が腫れて分厚くなってしまいます。
→悪循環のスタート:トンネルが狭くなると、中のヒモはさらに強くこすれます。すると今度はヒモの方も「痛いよ〜!」と腫れて太くなってしまいます。
→ギチギチ状態:「狭くなったトンネル」の中に、「腫れて太くなったヒモ」が2本。もうパンパンです。動かそうとするたびに、ギチギチとこすれ合って、激痛が走る…。これがドケルバン病の正体です。
【セルフチェック】これ、ドケルバン病かも?
お家で簡単にできる「アイヒホッフ(フィンケルシュタイン)テスト」というのがあります。
1.親指を内側に入れて、残りの4本の指で親指をギュッと握り込みます(グーの形)
2.その状態のまま、手首を小指側(下方向)へゆっくり曲げてみてください。
「あ痛たたたっ!!」と手首の親指側に鋭い痛みが走ったら、ドケルバン病の可能性がかなり高いです。
ばね指
「ドケルバン病(手首の腱鞘炎)から、ばね指へ……」。これ、実は「親指のトラブルの負の連鎖」とも言える、よくある流れなんです。
どちらも根本的な犯人は「炎症(はれ)」なのですが、痛む場所や症状が変わっていく様子を、「ロープとトンネル」の例えでお話しします。
ステップ1:まずは手首で「摩擦」が起きる(ドケルバン病)
親指を動かす筋肉は、腕から手首を通って親指の先まで伸びる「長いロープ(腱)」のような形をしています。そして手首のところには、このロープがバラバラにならないように束ねる「トンネル(腱鞘)」があります。
親指を使いすぎると、手首のトンネルの中でロープが何度もこすれます。すると、まず**手首のトンネルが「火事(炎症)」**を起こします。これがドケルバン病です。
この段階では「手首の親指側」がピキピキ痛みます。
ステップ2:ロープが「ささくれ」て、太くなる
手首が痛いのに無理して使い続けると、炎症がどんどん進みます。
何度もこすられたロープ(腱)の表面が、まるで使い古した麻縄のように「ささくれ」たり、水分を吸って「パンパンに腫れたり」してしまいます。
こうなると、ロープ自体の通りが悪くなり、親指全体の動きがギクシャクし始めます。
ステップ3:手のひらに「コブ」ができる
ここからが「ばね指」への入り口です。腫れて太くなったロープが、親指の付け根(手のひら側)にある「もう一つのトンネル」に差し掛かります。
太くなったロープの一部が、さらにこすれて「結び目(コブ)」のようになってしまいます。例えるなら、「針の穴(トンネル)に、結び目のある糸(ロープ)を通そうとしている状態」です。
ステップ4:ついに「カックン!」となる(ばね指の完成)
この「結び目」がトンネルを通る時に、無理やり通り抜けようとして弾けるのが、ばね指の正体です。
1.引っかかり: 指を曲げようとすると、結び目がトンネルの入り口で「ムギュッ」と詰まって止まります。
2.無理やり通過: さらに力を込めると、結び目が「ポンッ!」と勢いよくトンネルを通り抜けます。
3.カックン現象: この瞬間に、指がバネのように「カックン!」と跳ねたり、激痛が走ったりするのです。
なぜ「進行」してしまうのか?
ドケルバン病(手首)からばね指(指の付け根)に流れてしまうのは、一言で言うと「炎症のリレー」が起きてしまうからです。
✔手首の痛みをかばって変な動かし方をする→手首の炎症が、つながっているロープ(腱)を伝わって指の方まで広がってしまう
こうして、最初は「手首が痛いな」と思っていたのが、いつの間にか「指がカクカクして伸びない!」という状態に進化してしまいます。
もし今、手首に痛みがあって、さらに指の付け根に違和感(重だるい、少し引っかかる感じ)が出てきているなら、それは「ばね指予備軍」のサインです。
「ロープがこれ以上ボロボロになる前に、トンネルの火事を消して(安静や治療をして)、お休みさせてあげて!」という親指からのSOSだと思って、早めにケアをしてあげてください。
母指CM関節症
「瓶の蓋が開けられない」「ホチキスを使うと親指の根元が痛い」という場合は、関節の変形である「母指CM関節症」かもしれません。
腱鞘炎が「ヒモとトンネルの摩擦」だったのに対し、こちらは「建物の土台の老朽化」に近いイメージです。
「CM関節」ってどこにある、どんな場所?
まず、場所を確認しましょう。親指をぐりぐりと動かしたとき、手首の近くで一番大きく動く「根元のふくらみ」の部分、そこがCM関節です。
✔役割は「司令塔」:親指は、他の4本の指と向かい合って「つまむ」「握る」という複雑な動きができますよね。この自由自在な動きを支えているのがCM関節です。
✔専門的には「鞍関節(あんかんせつ)」と呼ばれます。乗馬のときに使う「くら」のような形をした骨と骨が、上下に組み合わさっています。この形のおかげで、親指はぐるぐると自由に動けるのです。
なぜ痛くなるの?(メカニズム)
自由自在に動けるということは、それだけ**「負担がかかりやすい」**ということでもあります。
✔クッションが消えていく:骨と骨の間には、プルプルした「軟骨(なんこつ)」というクッションがあります。しかし、長年この「馬の鞍」を使い続けると、クッションがすり減って、だんだん薄くなってしまいます。
→骨同士が「こんにちは」してしまう:クッションがなくなると、ついに骨と骨が直接ぶつかり始めます。例えるなら、「タイヤのゴムがすり減って、ホイール(金属)が地面に直接当たって火花が散っている状態」です。
→骨が変形する(トゲができる):ぶつかり合う刺激で、体は「もっと補強しなきゃ!」と勘違いして、骨の端っこに「骨棘(こつきょく)」というトゲを作ってしまいます。これが原因で、親指の付け根がボコッと突き出して、手が四角く見えるようになることもあります。
なぜ「大人の女性」に多いの?
✔長年の「頑張り」の積み重ね:家事、育児、仕事……。何十年も重い鍋を持ったり、雑巾を絞ったり、細かい作業を繰り返してきた「勲章」のようなものなんです。
✔女性ホルモンの変化:更年期以降に女性ホルモン(エストロゲン)が減ると、関節を支える靭帯が緩んだり、軟骨が弱くなったりすると言われています。「関節の守り神」がいなくなってしまうイメージですね。
どんなときに痛む?
✔「ひねる」動き: 瓶のふたを開ける、ドアノブを回す、鍵をひねる。
✔「つまむ」動き: 洗濯ばさみを使う、ボタンを留める、ホチキスを止める。
✔「開く」動き: 重いお皿を親指と人差し指で持つ。
「あれ? 力が入らないな」と感じるのも、この病気の特徴です。
治し方と予防方法
「親指が痛い!」と言っても、これまでの解説の通り、原因によって「火事が起きている状態(腱鞘炎・ばね指)」と「土台がすり減っている状態(CM関節症)」で、少しだけアプローチが変わります。
でも、共通して言えるのは「親指をいかに甘やかすか」が完治への最短ルートだということ。具体的なケア方法を、もっと深掘りして解説しますね。
「腱鞘炎(ドケルバン)」と「ばね指」のケア
この2つは「摩擦」のトラブルなので、「炎症を鎮めること」と「トンネルの滑りを良くすること」が目標です。
「手首の角度」に注意!
スマホを操作する時や包丁を握る時、手首が「く」の字に曲がっていませんか? 手首が曲がった状態で親指を動かすと、トンネルとヒモがもっと強くこすれます。「手首はまっすぐ」を意識するだけで、親指の負担はかなり減ります。
マッサージ
炎症が落ち着いてきたら(ズキズキしなくなったら)、お風呂で温まりながら手をリラックスさせます。痛い指の付け根(手のひら側)を、反対の手で優しく「さする」程度にマッサージ。
※注意: グイグイ揉むのは逆効果!「固まったバターを体温で溶かす」くらいの優しい力加減で。
親指を動かす筋肉は前腕に多くあるので、前腕のマッサージも有効です。反対の手やマッサージガンを使って優しくマッサージするのも良いと思います。
サポーターまたはテーピング
サポーターまたはテーピングも有効です。痛みが強いときはテーピングとサポーターをダブルでやっても良いと思います。
サポーターはこちら▽▽(こういったプレートが入っている者のほうが固定力がるのでおすすめです)
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簡易型のサポーターはこちら▽▽
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「CM関節症」のケア
こちらは「軟骨のすり減り」が原因。すり減ったクッションは戻せませんが、「周りの筋肉を鍛えて、関節を支えるガードルを作る」のがポイントです。
「OKサイン」のエクササイズ
親指と人差し指で、きれいな「丸(OKの形)」を作ってみてください。CM関節症の人は、ここが「涙型(つぶれた形)」になりがちです。
きれいな「○」をキープしたまま、5秒間静止。これを繰り返すと、関節を正しい位置で支える筋肉が鍛えられます。
「C」の形を作る練習
手全体をリラックスさせ、親指と他の指でアルファベットの「C」の形を作ります。
大きなボールをふわっと握るようなイメージです。この「Cの形」は、CM関節が最も安定するポジション。何かを持つときも、この形を意識すると痛みが走りにくくなります。
温熱療法(パラフィン浴など)
病院などで受けられる「ロウ(パラフィン)」を使った温熱療法は、関節の奥までじっくり温まるので、CM関節症の重だるい痛みには特におすすめです。お家では、市販の「あずきを温めるタイプの温熱パッド」なども効果的ですよ。
マッサージ
親指を動かす筋肉は前腕に多くあるので、前腕のマッサージも有効です。反対の手やマッサージガンを使って優しくマッサージするのも良いと思います。
サポーターまたはテーピング
サポーターまたはテーピングも有効です。痛みが強いときはテーピングとサポーターをダブルでやっても良いと思います。
サポーターはこちら▽▽(こういったプレートが入っている者のほうが固定力がるのでおすすめです)
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日常生活の「お助けアイデア」
親指を使わなくて済むように、環境を整えましょう。
「電動」を味方にする
電動歯ブラシ、電動缶切り、電動ペッパーミル。親指で「力を入れる」動作を機械に代わってもらいましょう。
ペンの持ち方を変える
細いペンを握り込むのは親指に大ダメージです。市販の「太いグリップ」をつけたり、最近は指を通すだけで書けるユニバーサルデザインのペンもあります。
音声入力を活用する
スマホを持たずスマホ台において操作したり、スマホのメッセージは、親指で打たずに「マイク」に向かって話しましょう。これが一番の腱鞘炎対策になります!
まとめ
親指が痛くなるのは、あなたがそれだけ一生懸命に手を使って、誰かのために料理を作ったり、仕事をしたり、赤ちゃんを抱っこしたりしてきた証拠。
「もう年だから」「使いすぎたから仕方ない」と諦めないでください。
「安静・保温・道具の工夫」という3つの柱を大切にすれば、痛みは必ず和らいでいきます。



