ケガの治し方

学生に圧倒的の多い膝の痛み【オスグッドとジャンパー膝】原因と治し方を詳しく解説!

こんにちは、みやのまえ接骨院の橋本です。

スポーツに打ち込む中で、多くの人を悩ませる「膝の痛み」。特に10代から大人まで幅広く見られる「オスグッド病」と「ジャンパー膝」は、放っておくと大好きな競技を続けられなくなることもある厄介な問題です。

当院でも学生のスポーツ障害で一番多い気がします。

今回は、これらの違いや原因、そして最新の医学に基づいた「賢い治し方」と「再発させない体の使い方」を、専門用語を噛み砕いて分かりやすく解説します!

オスグッドとジャンパー膝の原因と治し方の解説

どっちの痛み?オスグッド病とジャンパー膝の徹底比較

膝の前側が痛いといっても、実は痛んでいる場所や原因は異なります。まずは、自分や周りの人がどちらに近いかチェックしてみましょう。

比較項目
オスグッド病 (OSD)
ジャンパー膝 (PT)
主な対象
10〜15歳の成長期(男子に多い)
10代後半〜30代の競技者(全年齢)
どこが痛い?
お皿の数cm下(すねの骨の出っ張り)
お皿のすぐ下(腱の付け根)
何が起きている?
成長中の柔らかい骨が引っ張られて炎症
膝のバネ(腱)が傷んでボロボロになる
主なスポーツ
サッカー、バスケ、バレー
バレー、バスケ、陸上、ハンドボール
将来のリスク
成人後も痛みが残る場合がある
慢性化しやすく、手術が必要になることも

 

プロの現場でも使われる「エコー検査」とは?

病院で行われる検査についても触れておきましょう。 最近では「エコー(超音波)検査」という、お腹の赤ちゃんを見るような機械を使って、膝の中を詳しく観察します。

正常な状態: 膝の腱は、きれいな横筋が通った繊維のように見えます。

ジャンパー膝の状態: 腱が本来の厚さ(約6〜7ミリ)を超え、1センチ以上に分厚く腫れ上がっているのが見えます。

「異常な血管」の出現: 重症化すると、本来はないはずの細かい血管が入り込み、痛みを引き起こします。

なぜ痛くなる?原因は「短すぎるゴム」と「バネの限界」

膝の痛みを理解するために、太ももの筋肉(大腿四頭筋)を「ゴム」、膝の腱を「バネ」に例えてみましょう。

オスグッド病:強すぎる「引っ張り合い」

オスグッド病は、骨が成長するスピードに筋肉の柔軟性が追いつかず、太もも前の筋肉(大腿四頭筋)が「短すぎるゴム」のようになり、すねの骨(脛骨粗面)を強く引っ張り、まだ柔らかい成長軟骨が剥がれそうになってしまうのです

発症しやすい特定の動き

サッカーのキック動作:特に「振り出し」から「インパクト」にかけての爆発的な収縮と、蹴った後の「フォロースルー」で急激にブレーキをかける動きが、成長軟骨に強い牽引力を与えます。

急激なストップと切り返し:走っている状態から急に止まる際、大腿四頭筋が「エキセントリック収縮(伸ばされながら力を出す)」を起こし、脛骨粗面に最大荷重がかかります。

深いスクワット姿勢(捕手や柔道など):膝を深く曲げた状態からの立ち上がりは、腱が骨を剥がそうとする力が最大になります。

リスクの高いスポーツ

サッカー: 繰り返しのキックとダッシュ

バスケットボール・バレーボール: 10〜15歳前後でのジャンプ

陸上(短距離・跳躍): 爆発的な蹴り出し

野球: キャッチャーのアップダウン動作

オスグッドの治し方の解説は、こちらもぜひご覧ください▽▽

ジャンパー膝:衝撃吸収の「バースト」

ジャンパー膝は、ジャンプそのものより「着地(ブレーキ)」の瞬間に注目が集まっています ジャンプから着地する時、膝の腱は体重の数倍もの衝撃をバネのように受け止めます。この衝撃が、足首の硬さや疲労によって吸収しきれなくなると、バネが金属疲労を起こすように少しずつ傷んでいく(変性する)のです。

発症しやすい特定の動き

着地時の衝撃吸収(エキセントリック・ロード):ジャンプから着地する瞬間、膝蓋腱は体重の数倍の衝撃を「バネ」のように受け止めます。このとき、膝が内側に入ったり(Knee-in)、足首が硬かったりすると、全ての衝撃が膝蓋腱に集中します。

「タメ」の動作:ジャンプする直前の深く沈み込む動作で、腱に急激な張力がかかります。

頻繁なステップワーク:バドミントンやテニスなど、低い姿勢で前方に踏み込み、そこから素早く戻る動作。

リスクの高いスポーツ

バレーボール: 競技者の約40〜50%が経験すると言われるほど高頻度(特にアタッカー)

バスケットボール: 繰り返しのジャンプとリバウンド着地

走り高跳び・走り幅跳び: 片脚への極端な荷重

ハンドボール: ジャンプシュートとその後の着地

なぜ同じ競技でも「なる人」と「ならない人」がいるのか?

最新のエビデンスでは、以下の「バイオメカニカルな欠陥」が痛みの境界線を分けるとされています。

① 「膝優位」の動作(Knee Dominant)

股関節(お尻の筋肉)をうまく使えず、膝関節だけで動こうとする選手は、膝への負担が数倍に跳ね上がります。これを「股関節戦略(Hip Strategy)」に切り替えることが治療の鍵となります。

② 足首の硬さ(足関節背屈制限)

足首が硬いと、着地の衝撃を足首で逃がすことができず、その上の膝が全ての衝撃を肩代わりすることになります。

③ 運動量の急激な変化(Workload Management)

「1週間で練習量を10%以上増やさない」というルール(Acute:Chronic Workload Ratio)があり、急な合宿やレギュラー昇格による運動量の増加が、組織の回復限界を超えさせます。

再発を防止するための身体の使い方やセルフケア

再発を防止するためには、単に「筋肉をほぐす」だけでなく、「膝に負担をかけない体の使い方を脳に覚え込ませる」ことと、「負荷のセルフコントロール」が不可欠です。

最新のスポーツ医学に基づいた、具体的かつ実践的な再発防止策を5つのステップで解説します。

1. 身体の使い方:膝を守る「股関節戦略(Hip Strategy)」

膝の痛みの多くは、膝そのものではなく「股関節」がサボっていることも原因の1つです。

ヒップヒンジ(股関節の折りたたみ)の習得

「ヒップヒンジ」は、スポーツ医学において「膝を守るための最強のスキル」と言われています。

1. ヒップヒンジのイメージ:「折りたたみナイフ」

人間の体で一番大きな関節は「股関節」です。

悪い例(膝頼み): 椅子に座る時やジャンプの着地で、膝が先に前に出る動き。これは「膝という細いバネ」だけで体重を支えている状態で、オスグッドやジャンパー膝の直撃原因になります。

良い例(ヒップヒンジ): 股関節を**「折りたたみナイフ」のようにカチッと畳む**動き。お尻を後ろに突き出すことで、体重を「お尻と太もも裏の巨大な筋肉」に預けます。

2. なぜこれが膝にいいの?(エンジンの載せ替え)

膝関節は「小さなモーター」: 繊細で、使いすぎるとすぐに熱を持って壊れます。

股関節は「巨大なエンジン」: お尻の筋肉は体の中で最大・最強です。

ヒップヒンジができるようになると、今まで膝の「小さなモーター」で無理やり動かしていた負担を、お尻の「巨大なエンジン」に丸投げできるようになります。その結果、膝蓋腱(お皿の下)を引っ張る力が劇的に減るのです。

3. 【実践】ヒップヒンジを覚える簡単練習法

✔壁タッチ・ドリル

壁に背を向けて、かかとを壁から15cmくらい離して立ちます。

膝をできるだけ曲げずに、「お尻のほっぺ」で壁にタッチしにいきます。

③このとき、スネが地面と垂直(前に倒れない)のまま、太ももの裏が「ピーン」と張る感覚があれば成功です。

慣れたら、壁から少しずつ離れてみてください。

4. スポーツ中の活用シーン

これができると、あらゆる動きが「膝に優しい動き」に変わります。

ジャンプの着地: 足がついた瞬間、お尻をスッと後ろに引く(ヒップヒンジを入れる)ことで、着地音が消え、膝への衝撃がゼロに近づきます。

サッカーの守備やバスケのディフェンス: 「腰を落とせ」と言われた時、膝を曲げるのではなく、股関節を折りたたんでお尻を引くと、膝が痛くならない上に、次の動作へ爆発的に動けます。

野球の捕球: 股関節を畳んで構えることで、スネの骨端部への牽引力を防げます。

ニーイン(Knee-in)の防止

着地時に膝が内側に入ると、膝蓋腱や骨端部に「ねじれ」のストレスがかかります。今日から意識できる、簡単なコツを紹介します。

① 合言葉は「人差し指と仲良し」

スクワットやジャンプの着地、階段を降りる時、常に「膝のお皿を足の人差し指の真上に持っていく」ことだけを意識してください。これだけで「ねじれ」の大部分が解消されます。

② 「床を外側に引き裂く」イメージ

両足で立った状態で、足の裏を床につけたまま、「左右の足で、足元の新聞紙を外側にビリっと引き裂く」ように力を入れてみてください。

✔自然とお尻(横側)に力が入り、膝がスッと外側を向きます。この感覚が、運動中に膝を守る「正しい力の入れ方」です。

2. セルフケア:柔軟性の確保(モビリティ)

「モビリティ(可動性)」という言葉は少し難しく聞こえますが、簡単に言うと「関節が、本来持っている能力をフルに使ってスムーズに動ける状態」のことです。

膝の痛み(オスグッド・ジャンパー膝)を治すためのセルフケアを、「綱引き」に例えて分かりやすく説明します。

なぜ柔軟性(モビリティ)が必要なの?

膝の痛みは、筋肉という「ゴム」が硬くなり、骨を無理やり引っ張り続けている「終わらない綱引き」のような状態です。

太もも前が硬い: 膝のお皿やスネの骨を、常に「上」へ猛烈に引っ張っている。

太もも裏が硬い: 骨盤を後ろに引っ張り、膝がスムーズに伸びるのを邪魔している。

足首が硬い: 本来なら足首がしなって吸収するはずの衝撃を、全部「膝」に丸投げしている。

この「綱引き」を終わらせるために、3つの重要ポイントを緩める必要があります。

具体的な3大セルフケア

最新のエビデンスで特に重要視されている「膝を救う3つのストレッチ」です。

① 太もも前(大腿四頭筋):「引っ張る力を弱める」

ここが硬いと、動くたびに膝の痛む場所が「引き剥がされ」ようとします。

やり方: 横向きに寝て、上の足の甲を掴んで後ろに引きます。

プロのコツ: 「お腹に少し力を入れる(腰を反らさない)」こと。腰を反らせてしまうと、筋肉がしっかり伸びません。おへそを少し覗き込むようにして太もも前を伸ばすと、膝蓋腱への負担が効率よく取れます。

② 太もも裏(ハムストリングス):「骨盤のロックを外す」

太もも裏が硬いと「ヒップヒンジ(股関節の折りたたみ)」ができなくなり、結果的に膝が壊れます。

やり方(ジャックナイフ・ストレッチ)

1.しゃがんで両手で足首をしっかり掴みます。

2.胸と太ももをピタッとくっつけたまま、ゆっくりお尻を高く上げていきます。

3.膝は完全に伸びきらなくてOK。太もも裏が「ピーン」とくれば正解です。

効果: 骨盤が自由に動くようになり、膝への負担が減ります。

③ 足首(足関節):「天然のクッションを復活させる」

ジャンパー膝の人は、足首が硬いケースが非常に多いです。

やり方(壁押しストレッチ)

1.壁に向かって立ち、片足を一歩下げて、かかとを床につけます。

2.前の膝を壁に近づけていきます。

3.このとき、**後ろ足の「アキレス腱」と「ふくらはぎ」**がしっかり伸びていることを確認してください。

効果: 足首が柔らかくなると、着地の衝撃を足首で「グニュッ」と吸収できるようになり、膝への衝撃が激減します。

まとめ

オスグッドやジャンパー膝は、あなたの体が「今の動き方だと限界だよ!」と教えてくれているサインです。 「安静にして痛みが引くのを待つ」のではなく、「膝に頼らない体の使い方」を脳に教え込むチャンスだと捉えてみてください 早めにケアを始めれば、必ずまた思い切りプレーできる日が来ます。違和感を感じたら、まずは自分の「着地の音」や「お尻の動き」を意識することから始めてみましょう!

この記事を書いた人

みやのまえ接骨院院長

◇「柔道整復師」「NSCA認定パーソナルトレーナー」の院長が、体の不調を整え、心地よい身体づくりのための様々な情報をYoutubeなど各種SNSで発信しています。

◇みやのまえ接骨院は「健康寿命100歳を提供する接骨院」を理念に掲げています。

◇日々の接骨院での施術に加えて、キックボクサーのトレーナー、無農薬・無化学肥料の「みやのまえ農園」もやってます。

◇場所は、神奈川県厚木市、愛甲石田駅より徒歩4分。駐車場2台と提携駐車場あり。平日20時まで受付。

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