こんにちは、みやのまえ接骨院の橋本です。
「一生懸命練習しているのに、足の付け根が痛くて思うように動けない……」そんな悩みを抱えていませんか?その痛み、もしかしたら「グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)」かもしれません。
私の接骨院でも、股関節の内側の痛みで来院する学生が結構多いです。
かつては「一度なったら引退」と言われるほど厄介な怪我でしたが、2026年現在のスポーツ医学では、「正しく動かしながら治す」方法が確立されています。
この記事では、有名選手のエピソードを交えながら、最新の治療法から自分で行えるリハビリまで、親しみやすく徹底解説します!

目次
そもそも「グロインペイン症候群」ってなに?
一言でいうと、「足の付け根(鼠径部)周辺に起こる痛みの総称」です。 「症候群」という名前がついている通り、原因は一つではなく、いくつかのトラブルが重なり合って起こる「セットメニュー」のようなものです。
「なぜ痛くなるの?(「代償動作」という落とし穴)」
「代償動作(だいしょうどうさ)」という言葉、少し難しい響きですが、実はグロインペイン症候群の本質を知る上で最も重要なキーワードです。
なぜ足の付け根が悲鳴を上げてしまうのか、その舞台裏で起きている「負の連鎖」について、日常のシーンに例えながらもっと深く掘り下げてみましょう。
体の中は「ブラック企業」!? 代償動作の正体
私たちの体は、たくさんの筋肉や関節が協力して動く「チーム」のようなものです。しかし、どこかのメンバーがサボり始めると、他のメンバーがその分の仕事を肩代わりしなければなりません。この「無理な肩代わり」こそが「代償動作」です。
例えば、サッカーのキックやランニングを「プロジェクト」だと考えてみてください。
本来の理想的なチーム
✔部長(体幹・インナーマッスル)が指示を出し、骨盤を安定させる。
✔エース社員(お尻・胸郭)が大きなパワーを生み出し、衝撃を吸収する。
✔現場担当(鼠径部・足)は、そのパワーをスムーズに伝える。
グロインペインが起きる「ブラックな状態」
✔部長(体幹)が居眠りをして骨盤がグラグラに。
✔エース社員(お尻・胸郭)が「体が硬い」と言って動かない。
✔結果:すべての過重労働が現場担当の「足の付け根(鼠径部)」に集中し、ついに限界を超えてパンク(痛み)が発生します。
これが、グロインペインが「使いすぎ(オーバーユース)」だけでなく、「使い方のエラー」だと言われる理由です。
足の付け根を破壊する「3つの落とし穴」
具体的に、どのようなサボりが鼠径部を苦しめているのでしょうか?
① 「お尻の死滅(デッド・バット)」:衝撃吸収のサボり
本来、着地やストップの衝撃は「お尻の大臀筋」がクッションのように飲み込んでくれるはずです。しかし、長時間座りっぱなしの生活などでお尻の筋肉が眠ってしまう(デッド・バット症候群)と、その衝撃がダイレクトに股関節の前側(鼠径部)を直撃します。
② 「胸郭(背中)のガチガチ」:ねじれの押し付け
上半身の「胸郭(きょうかく)」が硬いと、体をひねる動作がスムーズにできません。すると、体は「上半身が回らない分、股関節をもっとねじって補おう」とします。 この無理なねじれは、鼠径部を「雑巾絞り」にするような強烈なストレス(クロスカレント・ストレス)となり、恥骨や筋肉の付け根を傷めてしまうのです。
③ 「膝の内倒れ(ニーイン)」:内ももの過剰労働
踏ん張る時に膝が内側に入る動きは、内ももの筋肉(内転筋)を無理やり引き伸ばしながら、同時に「ブレーキ役」として過酷に働かせます。 本来ならお尻の筋肉が支えるべきところを、内ももだけで支えようとして「もう無理!」と悲鳴を上げている状態です。
一度ハマると抜け出せない「負の連鎖」
恐ろしいのは、この代償動作が「クセ」になってしまうことです。
✔どこかがサボり、鼠径部が痛む。
✔痛いから、脳が無意識にもっと別の変な動きでかばおうとする。
✔変なフォームが定着し、さらに別の場所(腰や反対の足)まで痛くなる。
✔本来の正しい動かし方を脳が忘れてしまう。
この状態になると、ただ休んで痛みを取るだけでは不十分です。「サボっているメンバー(体幹・お尻・背中)を叩き起こし、チームワークを再構築する」こと。これこそが、最新の医学が教える完治への近道なのです。
あのスター選手たちも戦った!勇気をもらえるエピソード
この病気は、多くのトップアスリートを悩ませてきました。彼らの経験は、今の治療に大きく活かされています。
✔中田英寿さん(サッカー):イタリアで活躍していた頃、この痛みに悩まされました。当時は「休めば治る」と思われていましたが、彼は「ただ休むだけでは解決しない」ことを証明しました。後に、骨盤の連動性を見直すことで見事に克服しました。
✔中村俊輔さん(サッカー):精密なキックが武器の彼も、長年この症状と戦いました。彼は「柔軟な股関節と、それを受け止める腹筋の連動」を極限まで追求することで、長く現役を続けました。
✔長谷部誠さん(サッカー):痛みを我慢してプレーを続けた結果、構造的な問題(スポーツヘルニア)にまで進んでしまい、手術を経験しました。「我慢しすぎることの怖さ」を教えてくれる事例です。
まずは「スクイズテスト」でチェック!
リハビリの現場では、「スクイズテスト」という確認方法がよく使われます。 仰向けに寝て、両膝の間に拳やクッションを挟み、ギュッと力を入れてみてください。これで痛みが出る場合は、グロインペインの可能性が高いサインです。
また、「安静にしていても夜間にズキズキ痛む」場合や「股関節が全く動かせない」といった場合は、疲労骨折などの深刻な疾患(レッドフラッグ)の可能性があるため、すぐに専門医を受診してください。
あなたの痛みはどこから?原因の「4つのタイプ」
グロインペイン症候群の「4つのタイプ」について、最新の国際基準(ドーハ合意)に基づいた具体的な姿勢や動きを詳しく解説します。
自分の痛みがどの動作で出るかを確認することで、どこが原因なのかを絞り込むヒントになります。
1. 内転筋(ないてんきん)関連タイプ:内もものお疲れモード
もっとも頻度が高いタイプで、太ももの内側にある筋肉(内転筋)の付け根が悲鳴を上げている状態です。
痛む動き・姿勢
✔足を内側に閉じる動き(内転)に抵抗をかけた時、足を外側に大きく踏み込む時に痛みます。
✔サッカーのインサイドキックや、強いボールをインサイドで受ける時、相手をブロックしようと踏ん張る動きで痛みが出やすいのが特徴です。
メカニズム
引き延ばされた内転筋に力が入った時に内転筋の付着部である股関節の付け根、恥骨に負担がかかります。
2. 腸腰筋(ちょうようきん)関連タイプ:股関節の深部トラブル
股関節の深いところにある、足を持ち上げるための「インナーマッスル」が原因です。
痛む動き・姿勢
✔足を高く持ち上げる動き(屈曲)や、後ろに伸ばした足を手前に引き戻す瞬間に痛みが出ます。
✔走っている時のもも上げ動作や、階段の上り下りで痛みを感じることが多いです。
メカニズム
✔「お尻の筋肉」がサボっていると、着地時の衝撃をすべてこの腸腰筋が受け止めることになり、パンクしてしまいます。
3. 鼠径管(そけいかん)関連タイプ:お腹の壁の弱り
かつて「スポーツヘルニア」と呼ばれていた状態に近く、下腹部の筋肉の壁が弱くなっているのが原因です。
痛む動き・姿勢
✔腹筋運動(起き上がり)**や、咳・くしゃみをした時に、下腹部に響くような痛みが出ます。
✔重いものを持ったり、いきんだりする姿勢でも痛みを感じやすいです。
メカニズム
腸が飛び出す「脱腸(鼠径ヘルニア)」とは違いますが、お腹の壁が弱くなって過敏になっている状態です。
4. 恥骨(ちこつ)関連タイプ:骨のつなぎ目の悲鳴
股の真ん中にある「恥骨結合」という骨のつなぎ目自体に炎症が起きているタイプです。
痛む動き・姿勢
✔恥骨の部分を直接押すと激痛があります。
✔体を大きくねじる動きや、全力でのロングキック、ピッチング動作などで痛みが出ます。
メカニズム
「クロスカレント・ストレス(交差する力)」が原因です。例えば、上半身は右に回り、下半身は左に踏ん張るような、上半身と下半身が逆方向にねじれる動きの際、その支点となる恥骨に「引き裂かれるような力」が集中してしまうのです。
2026年最新のリハビリメニュー:動かして治す!
2026年現在のスポーツ医学において、グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)の治療は「ただ休む」ことから、「正しく動かしながら治す(アクティブリハビリテーション)」へと大きく進化しています。
リハビリの鍵は、痛みが出ている「現場(鼠径部)」をいじめるのではなく、サボっている「周りのメンバー(体幹・お尻・背中)」を叩き起こして、チームワークを取り戻すことにあります。
最新のリハビリメニューを、段階を追って詳しく解説します!
最重要!「内転筋」を鍛え直す3ステップ
現在、世界中のプロチームで最も推奨されているのが「コペンハーゲン・アドダクション(CAE)」というメニューです。内ももの筋肉(内転筋)を、引き伸ばされながらも耐える強靭な状態に作り替えます。
自分の痛みの段階に合わせて、以下の表のようにレベルを上げていきましょう。
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レベル
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メニュー名
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具体的なやり方
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ポイント
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Lv.1
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アイソメトリック
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仰向けで膝の間にクッションを挟み、ギュ〜ッと5〜10秒押し合う。
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痛みが出ない20〜30%の力から始めるのがコツです。
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Lv.2
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ショートレバー
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横向きになり、上の足の「膝」を椅子に乗せて、下の足を浮かせてキープ。
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膝で支えるので、初心者でも挑戦しやすい形です。
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Lv.3
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ロングレバー
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上の足の「足首」を椅子に乗せて、体を一直線に持ち上げる。
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負荷が最大になります。急性期を過ぎてから行いましょう。
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骨盤を安定させる「デッドバグ(死んだ虫)」
お腹の筋肉が「固まっているだけ」では、激しい動きの中で骨盤を支えられません。手足の動きに合わせて腹圧をコントロールする、「デッドバグ」という種目が効果的です。
【やり方 】
①仰向けで手足を空中に上げます(まさに死んだ虫のポーズ!)
②腰が床から浮かないように意識しながら、対角線の手と足をゆっくり地面すれすれまで下ろします。
✔効果: 鼠径部にかかっていた無理なストレスを、お腹がしっかり受け止めてくれるようになります。
「背中」と「お尻」の可動域を広げる
鼠径部が痛む人の多くは、上半身(胸郭)とお尻がガチガチに固まっています。ここが動かない分を股関節が無理して補っているため、その連鎖を断ち切ります。
✔ソラシック・ローテーション(胸の開き): 横向きに寝て、上の腕を大きく後ろへ回し、胸を広げます。上半身がしなやかに回るようになると、キックの時の「ねじれ」が鼠径部に集中しなくなります。
✔90/90(ナインティ・ナインティ)ストレッチ: 両膝を90度に曲げて床に座り、股関節を内側・外側に深く動かします。股関節の深部の詰まりを解消するのに最適です。
仕上げ:スポーツの動きへ繋げる「スプリットスクワット」
最後は、実際に立って動くトレーニングです。
✔やり方: 足を前後に大きく開き、真下に腰を落とします。
✔ここが重要!: 前のめりにならず、後ろの足の股関節に体重を落とすイメージで「前足のお尻(大臀筋)」で体重を支える感覚を掴んでください。内ももだけで支えようとすると痛みが出るため、お尻と連携して動くことを脳に覚え込ませます。
【リハビリの判断基準】やりすぎかどうかのサイン
リハビリを進める上で、「どこまで攻めていいのか」を判断する最新の基準がこちらです。
✔VAS(痛み指数): 10段階中(10が耐えられない激痛)、「2」までの痛みであればトレーニングを続けてもOKとされています。
✔VAS(痛み指数): 10段階中(10が耐えられない激痛)、「2」までの痛みであればトレーニングを続けてもOKとされています。
✔動作の質: お腹の力が抜けて腰が反ってしまうと、かえって鼠径部を痛めてしまいます。鏡を見て、姿勢が崩れていないか常にチェックしてください。
「痛いから動かない」のではなく、「痛くない範囲で賢く動く」。これが、2026年スタイルの最短復活ルートです!
まとめ:グロインペインは「体の使い方のサイン」
グロインペインは、単純にオーバーワークの場合もありますが多くの場合、体からの「使い方が間違っているよ!」というメッセージでもあります。
①「安静」だけではなく、適切なリハビリ(内転筋やお尻の強化)を始める。
②「痛みが10段階中2まで」を目安に、少しずつ負荷を上げる。
の順番で、焦らずに自分の体と向き合えば、きっと以前よりも強い体になってフィールドに戻れるはずです。あなたの復活を応援しています!
